恋愛の事情
既読の時刻、婚活の条件、友人の恋人。好きな人の前で人がとる見栄と言い訳の物語です。
読み切り 9 本
新着の物語
一覧を見る(新着の物語) 恋愛
結婚相談所の退会理由に、四人続けて「条件」と打った月末
四人続けて「条件が合わない」を選んだ。いちばん上にあって、押しやすかったから。更新されない条件欄を、理恵は初めて開く。
恋愛
親友の皿のしいたけを、彼氏はなぜ取るのだろう
親友の好物なら十四年知っている。そのはずの真央が、鍋の席で彼氏の箸を数えている。ひなたの返信は、前より少し遅い。
恋愛
家事代行の火曜、よその夫婦の付箋を数える
火曜のお宅の冷蔵庫に、付箋が三枚貼ってある。うちは違う。毎日話している。久美子はそう思っている。
恋愛
彼の分を、私は八か月ぶん食費と書いてきた
貸しと書いたら、疑っているみたいになる。そう思って、紗良は彼の分を食費の欄に入れ続けた。数字は一円も間違えていない。
恋愛
既婚の課長との食事代を、毎回半額で振り込んでいる
奢られない。家には入らない。九つの決めごとは、全部守っている。振込メモも、校正みたいにそろえた。
恋愛
元カノの二次会の受付に、自分から手を挙げた
元カノが結婚した。拓海は二次会の受付を引き受けた。「祝ってるだけだよ」と何度も言った。釣り銭は一枚も欠けなかった。
恋愛
夫の鞄の底にあった、使われていない黒いスマホ
42歳のパート店員は、夫を問い詰めない。金曜の十五分だけ、確認する。写真は増えていく。数えるのは得意だ。
恋愛
彼氏の既読は遅いと数えて、親友の返事は寝かせた
彼氏の既読が遅い。ゆいはそれを毎晩数えている。日曜の夕食で、彼は言った。ちゃんと読んでから返したい、と。その言葉を、ゆいも知っている。
恋愛
婚活の年収欄、来年の分を先に書くのは嘘ですか?
来年の昇給を先に書いただけ。嘘じゃない。そう思って、男は食事に行った。向かいの席の人も、同じことを思っていた。